1932年竣工の5階建ての建物。設計者不明。
装飾に若干のアールデコ様式が見られるが、その他のコロニアル建築と比べると比較的シンプルな外観。
Rander, Gujarat, India
ファサードに刻まれた"Rander House"の名前は、この建物がRanderからの移民により建てられたことを示している。
Randerからインド移民が最初にビルマに来たのはコンバウン朝ミンドン王(Konbaung Dynasty, King Mindon : 1853-1878)の時代といわれている。
当時の記録に、1854年にRander出身者が"Moolla Hashim Mosque"と呼ばれる竹のモスクを作ったことが記されており、このモスクは再建され現在もSurti Sunni Jamah Mosqueとして現存している。
Surtiの名を冠したモスクや建物は現在もヤンゴンに多数残っており、Surat出身者の当時のラングーンにおける影響力の高さを物語っている。
このRander Houseを建てたインド人商人は第二次世界大戦中、ないしは戦後すぐにビルマを離れ地元であるRanderに戻っている。
その影響から現在もRanderでは彼らがビルマから伝えたと思われる料理が残されており、代表的なものとして"Rangooni Paratha"と呼ばれる薄い生地に羊肉や鶏肉をはさんだものや、Khowsue/Khausaと呼ばれるチキンカレーにココナッツミルクとタマネギを入れた料理がある。
Rangooni Paratha/Khowsueの写真についてはLife in Suratを参照。
なお、1930年代後半には向かいにあるSofaer's Buildingも購入し、こちらは"Randeria House"と呼ばれていたという。
オーナーであるインド人商人が帰国した後は、ビルマ同様イギリスから独立したパキスタン大使館となった。
またBritish Councilの図書館 (1948-1966:詳細はBritish Embassy参照) やBurma Photographic Society(1950年設立)、Burma Stamp Clubといった現地の団体、Dawson's Bank(1905年設立)のラングーン支店などがこの建物に入居していた。
現在は前述の通り内国税収入局となっており、上のフロアは同局職員の住まいとして利用されている。
なお、1988年の軍事クーデーターの後、当時の軍政(SLORC : State Law and Order Restoration Council)によるPansodan Roadの拡張工事のため建築当時あった車寄せは取り壊されている。
参考文献:
Serindia Publications, Inc
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