「世界平和パゴダ」。
世界平和を祈念し、そう名付けられたこのパゴダはビルマ独立後の1952年に当時の首相U Nu(ウーヌ)により建立された。
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高さ36mの仏塔は5つの入口から内部に入ることができ、各入口正面には触地の印相を結んだ5体の仏像が置かれ、更に中央部にある舎利殿には豪華な装飾を伴った座像が安置されている。この坐像の置かれた狭い空間には常時多くの仏教徒たちが詰めかけ祈りを捧げている。またパゴダ内部には日本の宗教法人である念佛宗三寶山無量壽寺より寄贈された像もある。
独立前の1947年に制定された憲法(所謂1947年憲法)では仏教徒以外への配慮から信仰の自由が認められていたが、それでも国民の大多数が信仰する仏教はその中でも「特別な名誉ある宗教」と認定されていた。U Nu自身も敬虔な仏教徒であり、第二次世界大戦で激戦地の一つであったビルマにおいて、その終戦を祝うとともに将来の世界平和を祈念する意図があったのかもしれない。
また同パゴダの北側には、同時に建てられた人工の洞窟(Maha Pasana Guha)があり、この洞窟は1954年から1956年にかけて世界各国から2,500名の僧を招いて開催された第6回結集(けつじゅう)の会場となった。
なお同名の洞窟がインドにあり、こちらは仏陀入滅後に行われた第一回結集の会場となったと言われている。
一時的に首相の座を他に譲っていたU Nuだが1960年の選挙により再度首相に返り咲き、彼は仏教を国教とするべく憲法改正を試みた。
しかしながらこの改正は仏教徒以外の反発を招き、少数民族問題の悪化に繋がり、結果的に軍の台頭と1962年のクーデターに繋がってしまう。
なおその後定められた1974年憲法では仏教の「特別な名誉ある宗教」という条文は削除された。
(現在の2008年憲法では再び「特別な名誉ある宗教」と認定されている。)
1996年12月25日、このパゴダの敷地内で2つの爆弾が爆発する事件が発生し5名の命が奪われるなど、苦難の歴史を有してはいるが、それでも現在まで多くの仏教徒たちの信仰の場となっている。
なお、1958年に日本の北九州市門司区に建てられた「世界平和パゴダ」はこのパゴダを模して造られており、日本で唯一のミャンマー人僧侶が常駐するパゴダとなっている。
世界平和パゴダ
Address : 福岡県北九州市門司区大字門司3251-4
念佛宗三寶山無量壽寺より寄贈 |
参考文献:
中央公論新社
Dom Pub
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