University of Medicine 1, Yangon (Burma Government Medical School)

Address : 245 Myoma Kyaung Road, Lanmadaw Township, Yangon



ケーリュケイオンによく似た図案をシンボルマークとするこの学校はミャンマーで最古の医科大学であるUniversity of Medicine 1, Yangon（ヤンゴン第一医科大学）で、現存する校舎は1929年に完成したもの。
現在ミャンマーにおける統一試験（セーダン試験）で、最も良い成績を残したものが進学するミャンマー最高峰の高等教育機関となっている。


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英緬戦争を経てイギリスの植民地となったビルマでは、比較的早い段階から医療従事者の養成機関設立の提言がなされていた。確認できる限り最古のものとして、1868年のThe Indian Medical Gazetteにおいてその提言がなされていたが、実際には長らくその実現をみることなく、ビルマで働く医療従事者はイギリス本国やインドから派遣されたものがほとんどであった。
また医者を志すものはイギリスまたはインドへと留学する必要があった。

こうした中、1907年にヤンゴン医科大学の前身にあたる4年制のBurma Government Medical SchoolがColonel Kingにより設立された。初年度10名の生徒で始まり、うち9名は政府からの給費を得ていた。1910年に最初の入学者たちが全員無事に卒業を迎え、9名はSub Assistant Surgeonとして、残りの1名はRangoon Municipalityへと就職しようやくビルマから医療従事者の供給が可能となった。

1912年、ラングーン総合病院（Rangoon General Hospital）が前年に完成した新病棟へと移転したことに伴い、旧病棟へと校舎を移設し、同時に旧病棟内に学生寮が設置された。
1917年には学生の増加に伴い大規模な改修工事を行ったが、この旧病棟自体が1873年に建てられた木造のものであった点や本来学校のために建てられたものではなかったことから新校舎の設立が望まれるようになる。

一方で1923年にラングーン大学（Rangoon College）に医学コース（6年制）が導入され、学位の取得が可能となった（Medical Collegeの設置）。これによりMedical School廃止の提言がなされたが、結果的にMedical Schoolも存続することとなり、ラングーンにおいて2つの医師養成機関ができることとなる。


さて、前述のように長年新校舎建設の要望を出していたMedical Schoolの状況に加え、新たにMedical Collegeが設立されたこともあってか、1927年にようやく新校舎の建設が始まった。礎石は初代ビルマ総督Spencer Harcourt Butlerにより2月2日に置かれた。
1929年にこの新校舎が完成し、Medical SchoolとMedical Collegeの両校が同じ校舎で新たな歴史を刻むこととなる。なお、Medical Schoolの寮については引き続きラングーン総合病院の旧病棟を使用することとなった。

第二次世界大戦により大学は大きな被害を受けることとなるが、幸いなことに建物への被害はわずかであった
戦後の1946年、ラングーン大学（University of Rangoon）の組織再編が行われ、Medical Collegeはラングーン大学の医学部へと編入された。Medical Schoolに関しては1941年度を最後に年次報告が途絶えており、以降の流れについては不明となっているが、この大学再編の際にMedical Collegeと統合ないしは廃止されたのかもしれない。
1962年にネウィン（Ne Win）によるクーデターで政治体制が一変し、1964年5月には大学教育法が発布され、Insutitute of Medicine 1, Rangoonへと改編されることとなる。
その後、2005年に現在の名称であるUniversity of Medicine 1, Yangonと再度改称され、前身のMedical Schoolの時代から一貫してミャンマー国内における医療人材育成の中心的な役割を担い続けている。


余談だが、イギリス植民地下のMedical Schoolでは、ラングーンの歴史上ではお馴染みのLim Chin TsongやRamanatha Reddiarといった実業家、篤志家によって多額の寄付がなされ、彼らの名前を付けた賞が存在していた。
また1928年には唯一の日本人女性がMedical Schoolに入学した記録も残っており、このヤンゴン第一医科大の校舎で、一人の日本人女性が医療の道を志していたと思うと感慨深いものがある。