鹿児島のシュエダゴンパゴダ（南泉院　仏牙寺）-ミャンマーの青い鳥

Address : 鹿児島県鹿児島市花尾町3841

鹿児島市街地から車で40分ほど、山道を登っていくと8,000坪の広大な敷地とともに現れるのがこの南泉院だ。
正式名称を天台宗大雄山南泉院といい、鹿児島県で唯一の天台宗寺院となっている。
2008年（平成20年）4月13日、この寺院の敷地内にシュエダゴンパゴダと名付けられたパゴダが建立された。
当院住職の宮下亮善（みやしたりょうぜん）は長年ミャンマーの教育支援に携わり、現在まで60以上の学校と約2,000人の子供たちへの奨学金貸与を行っている。
その縁から2008年、同寺院敷地内にこのパゴダが建立される運びとなった。
施工会社は地元鹿児島市の株式会社イシタケ（だんらんホーム）。

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1996年（平成8年）、現在のミンガラーバー地涌の会の前身となるNGO地涌の会を設立した宮下は、1998年（平成10年）ごろより鹿児島市内の天文館近くでミャンマーの子供たちへの支援のために托鉢を始めたという（現在も継続中）。
そして2003年（平成15年）5月、広く支援を集めるべくNGOミンガラーバー地涌の会を設立。
以降、ミャンマーのシャン州を中心に現在まで60校以上の学校を設立、約2,000人の子供たちに奨学金の貸与を行っているという。なお、地涌の会の理念として「自助努力なきものに支援なし」「100%の支援はしない」というものがあり、宮下は「どのような国際支援、協力であっても彼の国の「国づくり」は彼の国の「人づくり」である。依頼心を助長する支援ではあってはならない。」（鹿児島中央ロータリークラブ週報 No.1858）と語っている。
こうした活動が評価され、2009年（平成21年）には「第11回西日本国際財団アジア貢献賞」を受賞、2018年には鹿児島中央ロータリークラブより「職業奉仕賞」を受賞している。
なお、前者の「アジア貢献賞」はNPO法人地球市民の会（第4回）、井本勝幸氏（第17回）、松本敏秀氏（第20回）といったミャンマーでもお馴染みの人々も受賞している。

上述のように長年にわたりミャンマーへの支援を続けていった縁から、2008年4月に同寺院敷地内にパゴダが建立されることとなる。
当地の略縁起によれば、このパゴダはZeyar Thedi MonastryのDaw Khe Mar Sariとその信徒達、鹿児島近郊在住の在日ミャンマー人達による尽力により、世界の平和とビルマ戦線敵味方全戦没将兵の慰霊、そして日本ミャンマー善隣友好のために建立された。
建立にあたってスリランカの仏歯寺（Dalada Maligava Temple）から仏歯が、ミャンマーのバガンから仏舎利が招来され、安置されているという。
2007年7月15日にU Wei Yaw Sana立ち会いの下、起工式が行われ、翌2008年4月13日に門司にある世界平和パゴダのU Kemminda（ウ・ケミンダ）立ち合いの下で落慶式が執り行われた。
建立されたパゴダはミャンマー最大の聖地ともいわれるシュエダゴンパゴダ（Shwedagon Pagoda）から名前をとられている。

宮下とミャンマー繋がりは、このパゴダの他にもう一つある。
2004年11月24日、ラインクン地涌パゴダと名付けられたパゴダがシャン州ラインクン村（Hlaing Konn）に建立された。このパゴダは日緬友好及びビルマ戦線敵味方全戦没将兵慰霊のために建立されたもので、建立に当たってはPa-O National Organization（PNO）のAung Kham Hti指導の下、約700万円がかけられたという。
バガン時代の様式で建てられた高さ15mほどのパゴダの西側には日本風の仏像が安置されている。

なおこの南泉院は東叡山寛永寺の末寺で天台宗の寺院である。
その開基は1710年（宝永7年）まで遡り、第21代島津吉貴が東照宮の別当寺として創建したといわれている。寺領は500石で当寺は現在照国神社が建つ場所にあったと言われ、薩摩藩有数の大寺院であった。
しかしながら明治を迎え、廃仏毀釈（神仏分離令）により薩摩内の寺院は全て廃止され、南泉院も廃寺となった。
以降再興されることなく平成の世を迎えたが、1997年（平成9年）12月12日、宮下により現在の場所に約130年ぶりに中興開山されることとなった。

参考：
天台宗大雄山　南泉院（公式）
ミンガラーバー地涌の会（公式）
公益財団法人　西日本国際財団（公式）