Myanma Economic Bank Branch 2 (the Chartered Bank)

2017/12/15

Kyauktada Yangon City Heritage List

t f B! P L
Address : 27-41 Pansodan Road, Kyauktada Township, Yangon



英国植民地時代の末期、1939年から1941年にかけて建てられたG. Douglas Smart(Palmer & Turner:現P&T Architects and Engineers)設計の、ヤンゴンでは珍しいアールデコ建築。
ちなみにSule Pagoda Roadにあるインド準備銀行(Reserve Bank of India)の設計もDouglas Smartによるもの。
建設当時はChartered Bank of India, Australia and China(現Standard Chartered Bank)のラングーン支店として、そして現在は国営のMyanma Economic Bank Branch 2として営業中。

また、日本による占領時代は横浜正金銀行(Yokohama Specie Bank:現東京三菱UFJ銀行)の支店として利用された。
横浜正金銀行は1880年(明治13年)の設立で1918年1月に出張所としてラングーンに進出。1919年5月10日に支店に昇格し1941年12月8日に英領ビルマ政府に接収され一時閉業。
1942年4月15日に日本軍の占領とともに営業を再開し、1945年4月30日に南方開発金庫に統合されるまで営業を続けていた。


チャータード銀行は1858年にラングーン(現ヤンゴン)支店を開業。
ラングーン進出当時はPansodan Roadに、その後Strand Roadへ移転したが、1880年代後半には支店環境の悪さから再移転のため現在の場所に土地を購入した。
しかしながら移転作業はなかなか進まず、1890年代後半にようやく移転が完了。当初の建物はHenry Hoyne-Foxによる設計。(参考:Ministers' Office
その後1939年に新たに現在の建物の建設工事が着工され、1941年1月に竣工となる。

このアールデコの建築は鉄骨コンクリート造で、内部の床は人造大理石が、内装にはビクトライト(ペクトライト)がふんだんに使われており、屋根は三層に及ぶマスチック塗材により保護される等、当時の最新技術を余すことなく使われていた。
また、ヤンゴンでは初の地下駐車場も備えていた。

しかしながら完成から1年を経過したころ、日本軍によりラングーンが占領され、前述の通り横浜正金銀行が支店として使用することとなる。
1945年末頃にチャータード銀行が当地に戻ると、この建物は奇跡的に戦火を免れて大きな傷もなく残っていた。もちろん内部にあった家具等は全てなくなってはいたが。

ビルマの独立後もチャータード銀行は営業を続け、幾度かの修復や改修が行われた。
1954年には支店長室にエアコンが導入された。
なおこの建物は一部をテナントとして貸し出しており、下記の事務所としても利用されていた。

・the Burma Chamber of Commerce
・the United States Information Services
・the Great Eastern Life Assurance Company
・アメリカ大使館運営の図書館


1962年、ネウィン(Ne Win)によるクーデターにより政治体制が一変し、所謂「ビルマ式社会主義」を標榜することになる。
そのため翌1963年2月23日に全ての国内銀行の国有化が行われ、当時ビルマ国内に存在した14の外国銀行と10の地元銀行は"People's Bank of Burm"となる。なお、No.1-14が外銀に、No.15-24が地元銀行にそれぞれ振り分けられ、チャータード銀行は"People's Bank of Burma No.2"となった。
その後1972年にPeople's Bank of Burmaは"Union of Burma Bank"に改称し、1975年の"Bank Act"によりUnion of Burma Bankは下記の四行に分割される。

1. Union of Burma Bank
2. Burma Economic Bank
3. Burma Foreign Trade Bank
4. Burma Agricultural Bank

1989年にビルマからミャンマーへの国名変更にともないMyanma Economic Bankと改称され、現在も国内の商業銀行として営業中。
またネウィンによる治世の間、地下駐車場は紙幣の保管場所として利用されていた。

現在の青と白の外観は2012年に塗り替えられたものでその他のMEB支店も同様の色となっている。

なお、チャータード銀行は2013年に再度ヤンゴンに進出し、現在はCentrepoint Towerの6階にて営業中。

Standard Chartered Bank (Myanmar Representative Office)
6H, 6 Floor, Centerpoint Tower,
No.65 Corner of Sule Pagoda Road & Merchant Road, Kyauktada Township, Yangon

Centrepoint Tower

地下駐車場入口

現在のStandard Chartered Bank
2017/12撮影

参考文献:

Fiery Dragons: Banks, Moneylenders and Microfinance in Burma (Nias- Nordic Institiute of Asian Studies Monographs)
Sean Turnell
Nordic Inst of Asian Studies




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散る散るミチル

ヤンゴンのコロニアル建築を中心にミャンマーのニッチな観光情報をまとめています。
日本帰国後は日本にあるミャンマー関連のものを中心に取り扱ってます。

最近は仏舎利ハンターに転職して全国各地の仏舎利塔を巡っております。夢は「新版 日本の仏舎利塔」の発刊と故郷に仏舎利塔を建立すること。

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