慰霊の思いは国境を越えて ミャンマーから贈られた南三陸大仏

Address : 宮城県本吉郡南三陸町志津川黒崎 海の見える命の森


2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。2016年から、その震災を通じて「学んだこと」、「後世に伝えなければならないこと」、「祈りたいこと」、「残したい風景」を伝える場所として、株式会社阿部長商店が所有する山林に「海の見える命の森」の整備が始まった。
2019年(令和元年)、その海の見える命の森に「南三陸大仏(パーリ語名:Abhaya Larba Muni)」と呼ばれる仏像が建立された。


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南三陸大仏はミャンマーでTomosada International Trading Company Limited(以下Tomosada)を経営するNay Myo AungとMaung Htet Myat Ooにより寄贈されたミャンマー産大理石で作られた仏像で、その高さは台座を含めて約5mほど。
Tomosadaは1996年創業で、長年日本企業とも取引のある商社である。2013年頃に本大仏発願者の一人である石川幸男の紹介で、株式会社阿部長商店代表の阿部泰浩とTomosadaが知り合ったという。
2017年頃にMaung Htet Myat Ooが阿部の案内のもと東日本大震災の被災地を視察し、その被害の大きさに目の当たりにするとともに被災地の為に何かできることがないかと考え、この大仏の寄贈を思い立ったという。
なお、2004年のスマトラ沖地震の際にはミャンマーでも津波による犠牲者がでている。

そして2019年11月25日、阿部長商店にこの大仏が寄贈され開眼法要が執り行われ、Tomoada、阿部長商店関係者等80名近くが参列した。この法要はミャンマー式と日本式で行われ、ミャンマー式の法要については上座仏教修道会のバッダンタニャーヌッタラ(Bhaddanta Nyanuttara)と、ミャンマーからこの法要のために訪日した7名の僧侶により執り行われた。
贈られた大仏は施無畏の印相を結んでおり、その印は文字が示す通り恐れ(畏れ)の心を取り去り救うことを意味する。また台座には「鎮魂」「施無畏」「興願」の3語が揮毫され、震災犠牲者の慰霊、地域の恐怖の忌避と鎮護、そして世界平和の3つの願いがこめられているという。

慰霊と鎮護、そして復興のための観光資源としての役割をも備えたこの大仏は、これからもこの丘の上から静かに南三陸町を見守り続けるのであろう。











2021/10撮影


参考:



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