高く聳える白亜の時計塔が目を引く建物は、Ahlone Township唯一のYangon City Heritage Listに指定されている学校で1872年にAmerican Baptist Missionの宣教師であるJoseph Getchell Binneyにより設立された。
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ビルマにおけるバプティスト派の宣教活動は1807年まで遡る。
1807年12月にイギリスのBaptist Missionary Societyから派遣された宣教師がラングーンに到着し、当地で宣教活動を開始したが、残念ながら彼らによる宣教活動は失敗に終わり、1814年には活動を断念することとなる。
しかしその一方で、現在までその名前をミャンマー各地に残すアメリカのバプティスト派宣教師であるAdoniram Judson(1788/10/09-1850/04/12)が1813年7月13日にビルマに到着し、彼らの活動を引き継ぐ形で宣教活動を始める。
彼はその生涯をビルマでの宣教活動に捧げ、生涯でカレン人を中心に8,000人近い改宗者を得たと言われている。
参考:Immanuel Baptist Church
Judsonの死後もこの学校にその名前を残すJosiah Nelson Cushing(1840-1905)やこの学校を設立したJoseph Getchell Binney(1807-1877)など多数の宣教師たちにより主に少数民族たちに対して宣教活動が進められていった。
この学校を設立したBinneyはもともとカレン族への宣教活動に従事すべく1844年4月にビルマに到着した。彼は当時既にイギリスの植民地となっていたモールメン(現モーラミャイン)において神学校を設立するなど、初期の宣教活動において大きな役割を果たした。
途中妻が体調を崩し療養のためにアメリカに戻った時期もあったが、1859年から再びビルマに戻る。
第二次英緬戦争の結果下ビルマ全土がイギリスの植民地となったことからその拠点をラングーンへと移し、また彼が設立した神学校も1862年にラングーンへと移転する。
こうして彼は神学校にて後進の育成に従事する傍ら、カレン族のための高等教育機関の必要性を訴え、1872年5月28日にAmerican Baptist Mission Schoolと呼ばれる学校を設立した。
これが現在までBEHS No.4 Ahloneとして存続する学校で、当初は17名の生徒でのスタートであったという。
BinneyはアメリカからState University of Missouriの教授であるDr. John Packerを呼び寄せこの学校で教鞭をとらせるなど、設立から2年間、校長として学校の発展に尽力した。
Binneyに次ぎ、この学校の発展に大きく貢献したのが1892年から1905年までこの学校の校長を務めたJosiah Nelson Cushingである。
もともとこの学校はカレン族のための「大学」を目指しており、1892年、カルカッタ大学の分校となる大学部門としてAmerican Baptist Mission College(後のJudson College)が設立されることとなる。
Baptist Collegeは1920年にビルマで最初の総合大学として設立されたUniversity of Rangoonに統合され1950年まで存続した。また大学の建物としてCushing Hallが1908年に建設され、こちらは現在までMyanmar Baptist Conventionの本部として使用されている。
参考:Myanmar Baptist Convention(Cushing Hall)
このように本来の目的であった大学設立への道筋を作ったCushingにちなみCushing High Schoolと呼ばれるようになったこの学校は、1913年に現在までこの学校の象徴ともいえる白亜の時計塔を建設(1917年完成)するなど、植民地化のビルマにおいて、特にバプティスト派の学生を中心にその教育の中心的な役割を果たした。
なお、この時計塔が建てられた1913年はJudsonがビルマに到着してちょうど100年を迎えた年であり、建設はそれを記念した事業である。
戦後、United Christian High Schoolと名称を変え引き続きその役割を果たしていたが、1962年にネウィン(Ne Win)によるクーデターとそれに伴う社会体制の変化から1965年5月にその他の学校と同様国有化され、Basic Education High School No.4 Ahlone(BEHS No.4 Ahlone)となる。
しかしながらCushingをはじめ多くの宣教師たちが築き上げた功績はこの美しい時計塔とともに消えることなく現在まで残り続けている。
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