Address : 143 Minye Kyawswa Road, Lanmadaw Township, Yangon
Josiah Nelson Cushingの名前を冠した1908年竣工のこの建物は、ミャンマー最大のキリスト教組織であるMyanmar Baptist Conventionの本部として使用されている。
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ビルマにおけるバプティスト派宣教の歴史は1807年まで遡る。
1807年12月にイギリスのBaptist Missionary Societyから派遣された宣教師がラングーンに到着し、当地で宣教活動を開始したが、残念ながら彼らによる宣教活動は失敗に終わり、1814年には活動を断念することとなる。
しかし一方で、1813年にアメリカからやってきたバプティスト派宣教師であるAdoniram Judsonが彼らを引き継ぐ形で宣教を開始し、1819年に最初のビルマ人改宗者を、そして第一次英緬戦争を境に活動の場をラングーンからテナセリム地方(Tenasserim)に移し、1850年に亡くなるまでの間に8,000人近い改宗者を得たという。
(参考:
Immanuel Baptist Church)
Judsonの死後も様々な宣教師たちが、主に少数民族に対して宣教活動を行い、徐々にではあるがビルマのキリスト教徒は増加していった。
そうした中で1865年12月5日にBurma Baptist Missionary Conventionが設立される。この組織は1954年にBurma Baptist Conventionと、そして1989年に国名がミャンマーへ変更されたことからMyanmar Baptist Conventionと名称の変遷を経て、現在もミャンマーのバプティスト派の中心として「奉仕と犠牲」のモットーの元、布教活動はもちろんのこと、HIVの治療ケア・感染予防への取り組みや神学校(Myanmar Institute of Theology:1927年設立)の運営などを行っている。
さて、上述の通りこの建物はJosiah N. Cushingの名前を冠し"Cushing Hall"と呼ばれている。
Cushingは1840年にアメリカで生まれた宣教師で、1887年にビルマ、中でも特にシャン族への宣教のためにビルマに到着する。
Cushingの到着前からもMoses Homan Bixbyにより1861年からシャン族への宣教活動は行われており、Toungooに到着したCushingは合流する形で宣教活動へ従事することとなる。
当時シャン州への入域にはコンバウン朝の許可が必要であったため(こうした理由から拠点はToungooであった)、Cushingはまずマンダレーに行き当時のKing Mindonよりシャン州への入域許可を手に入れ、1867年11月に外国人宣教師として初めてシャン州へ赴くこととなる。
その後もToungooを拠点としつつシャン州の各都市を回り宣教活動に従事していく一方で、シャン語の文法書や辞書の発行、また1882年には新約聖書(その後1887年に第二版、1903年に第三版を出版)を、1891年には旧約聖書をシャン語に翻訳するなど様々な面でシャン族における宣教活動の中心として活躍した。
American Baptist Mission Schoolはその後、Cushingを記念し"
Cushing High School"と名前を変えておりその功績の大きさを物語っている(1965年に国有化され現在のBEHS No.4 Ahloneに名称変更)。
残念ながら1905年にアメリカで開催されたバプティスト連盟会議に出席中、その生涯を終えることとなり、再びビルマの地を踏むことはなかったが、1908年に建てられたこのCushing Hallと上述の
Cushing High Schoolにその名を刻むこととなり、現在までAdoniram Judsonと並んで著名な宣教師として知られている。
なお、1908年に建てられたこのCushing Hallは当初はAmerican Baptist Mission Collegeのメインホールとして使用されていたが、1920年に"University of Rangoon Act"によりRangoon CollegeとJudson College(American Baptist Mission College)がUniversity of Rangoonへ統合され、Kamayut Townshipに移転したことから、バプティスト連盟の本部として使用され始めたと考えられる。
2015年5月28日から総工費424,225,832ksをかけた大規模な改修工事が行われ、2017年8月21日に完了した。
2018/10撮影
1910年ごろ
"Josiah Nelson Cushing"より
参考文献:
Wallace St.John
Andesite Press
B. R. Pearn
Gregg Intl Pubns
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