6th Blue Plaque.
アールデコ風の金色に輝く正面玄関と、屋根に施されたライオンの彫刻が目を引く緑色の建物は、かつてNational Bank of Indiaのラングーン支店として建てられた。
1930年ごろの竣工で設計はThomas Oliphant FosterとBasil Wardによるもの。
2015年6月、Yangon Heritage Trustにより6番目のBlue Plaqueに指定された。
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もともとこの建物はNational Bank of Indiaのラングーン支店として建設された。
National Bank of Indiaは1863年9月29日にイギリス領インド帝国のカルカッタ(Calcutta、現コルカタ:Kolkata)にてCalcutta City Banking Corporationとして設立された。
翌1864年にはNational Bank of Indiaに改称され、1864年にロンドン、1865年にボンベイ(Bombay、現ムンバイ:Mumbai)に支店を出店。なお、この時点では登記上インドの法人であったが、1866年にロンドンへ本店を移し登記上もイギリスの法人となる。
その後も海外展開を進めていき、香港(1869年)上海(1875年)マドラス(Madras:1877年)コロンボ(Colombo:1881年)カラチ(Karachi:1884年)ザンジバル(Zanzibar:1893年)ナイロビ(Nairobi:1904年)といった具合に支店を増やしていき、1900年には19の海外支店を有するまでに成長した。なおラングーンへの進出は1885年。
その後も安定的な成長を続け、1914年の第一次世界大戦勃発のころにはイギリス本国でも7大海外銀行の一角を占めるまでになる。
その後、1948年にはGrindlays Bankを買収しNational Overseas & Grindlays Bankへ改称。
合併後も10年間は両社は独立して営業を行っており、1959年National And Grindlays Bankへ改称しようやく二社の統合が完了する。
なお、この建物が一部で"Grindlays Bank"のラングーン支店だといわれるのは上記の通りNational Bank of IndiaがGrindlays Bankと合併したからだと考えられる。
Grindlays Bank自体は1828年にRobert Melville GrindlayによりLeslie & Grindlayとしてロンドンで設立され、1843年にGrindlay & Companyに改称。19世紀後半ごろより海外進出を進めていき、1864年にカルカッタへ支店を開設すると、ボンベイ(1865年)シムラ(Shimla:1912年)デリー(Delhi:1923年)、ラホール(Lahore:1924年)ペシャーワル(Peshawar:1926年)といった具合に英領インド帝国を中心に拡大を続けていた。
1924年にNational Provincial Bankに買収され、1942年にはThomas Cook & Sonがその業務を引き継ぎ、それに伴いビルマへの進出がなされた。
上述の通り、1948年にNational Bank of Indiaに買収され、National Overseas & Grindlays Bankへ改称。
1962年、ネウィン(Ne Win)によるクーデターにより政治体制が一変し、所謂「ビルマ式社会主義」を標榜することになる。
そのため翌1963年2月23日に全ての国内銀行の国有化が行われ、当時ビルマ国内に存在した14の外国銀行と10の地元銀行は"People's Bank of Burma"となる。なお、No.1-14が外銀に、No.15-24が地元銀行にそれぞれ振り分けられ、National And Grindlays Bankは"People's Bank of Burma No.10"となった。
国有化後の1970年2月から1996年の間は国立博物館として使用された。国立博物館が現在のPyay Road沿いに移設された後はMyanmar Industrial Development BankとMyanma Aglicultural Development Bankの支店として使用されることとなり、元来の「銀行」としての役割に戻った。
現在は1階部分は使用されておらず立ち入り不可。2階はMyanma Agricultural Development Bankの支店となっている。
余談だが、National And Grindlays Bankはその後1984年にAustralia and New Zealand Banking Groupに買収され、ANZ Grindlays Bank(子会社化)に、そして2000年にStandard Chartered Bankに売却された。
参考文献:
Serindia Publications, Inc
Nordic Inst of Asian Studies
Dom Pub
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